住民への通知ないまま、砲撃訓練行う

05年7月12日

矢臼別平和委員会、直ちに抗議文提出

 矢臼別演習場で行われる砲撃訓練については、周辺住民に「期間」「時間」「砲種」「弾数」「音量」が事前に通知されることになっています。(航空機を使う場合は機種・機数なども通知)
 これは、長年のたたかいによる成果であり、住民と自衛隊の間での絶対に破ってはならない約束でした。


 ところが、7月12日、通知のないまま砲撃訓練が行われました。
 いち早く気づいたのは、矢臼別演習場のもう一人の住人・浦舟三郎さんです。
 浦さんは、自衛隊に強く抗議しました。
 その結果、次のような文書が13日自衛隊から、ついで14日町から出されました。
                                             
                                                 17.7.13
別海町町長殿
                                           別海駐屯地業務隊長

             矢臼別演習場における空包射撃の実施について

 従来、矢臼別演習場における射撃については、事前に、関係自治体及び関係機関に対し射撃通知により通報しているところでありますが、平成17年7月12日(火) 0830〜1130までの間、射撃通知のないまま105mm戦車砲の空包100発及び155mmりゅう弾砲の空包20発の射撃を行いました。かかる事案が発生したことは誠に遺憾であると考えております。今後は矢臼別演習場における射撃に際しては、射撃部隊との綿密な連絡調整を行い再発防止に努める所存で有りますのでご理解頂けますようお願い申し上げます。
                                        
                                           別総政 第413号
                                          平成17年7月14日
各 位
                                         別海町長 佐野 力三

              演習通知外における射撃訓練の実施について

 このことについて、平成17年7月1日付別総政第348号にてお知らせしておりました演習通知に記載されていない空包射撃訓練が、平成17年7月12日矢臼別演習場において実施されました。翌日、陸上自衛隊駐屯地より、別紙のとおり射撃訓練についての謝罪がありましたのでお知らせいたします。また長としては、町民の皆さんに多大なる不安と不信感を与えたことはまことに遺憾であり、今後このようなことが二度と興ることの内容、別海駐屯地司令に申入れをしております。

                             (総務部総合政策課協働行政・演習場担当)


 矢臼別平和委員会は、一遍の文書で済ませられる問題ではないと考え、町民に対する謝罪と演習の中止を求め、15日、改めて抗議の申入れを駐屯地司令に行いました。
 次が抗議文の全文です。


                                       
                                          平成17年7月15日
陸上自衛隊別海駐屯地司令殿
                                           矢臼別平和委員会
                                           代 表 瀧川 榮子

                抗      議      文

 平成17年7月12日午前、矢臼別演習場において、射撃通知のないまま105mm戦車砲空包100発及び155o榴弾砲空包20発の射撃訓練が行われました。
 年間200日にも及ぶ射撃訓練によって、地域住民は多大な被害を受け、常に不安と同居させられ、平和に生きる権利を妨げられています。その住民にもたらされる唯一の、しかもか細い情報である「射撃通知」が踏みにじられるような事態を生じたことはきわめて重大です。
 今回の共同転地演習の中止を求めた道段階での交渉に際して道知事は、「道民の生活に不安や支障を与えることがないよう最大限の配慮を陸自北部方面総監に申し入れている」と答えています(7月5日)。今回の通告外射撃訓練は北部方面総監の責任を問われる大失態と言わざるを得ません。民間個人であれば刑事罰を受ける犯罪ともなりうるものです。
 私どもの抗議のあと、別海駐屯地業務隊長より別海町長宛に「かかる事案が発生したことは誠に遺憾であると考えております。」との文書が発せられていますが、今回のことを単なる「遺憾」な「事案」とする貴隊の姿勢は甚だ疑問です。
 演習場が設置されて40年余、営農の夢を阻まれた人々や、演習被害に苦しみ不安を抱きながら耐えている地域の住民、さらに平和を願う多くの町民に思いを巡らせ、真摯な態度で事に臨むことを強く要求します。
 私どもは、今回の通知外射撃訓練に厳重に抗議し、その原因を厳しく追及するとともに、再発防止の手立てを明確にした上で町民に改めて謝罪すること、並びに、矢臼別演習場での軍事訓練の中止を求めるものです。